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【決算レポート】石油元売各社の16年度決算の注目点 ニュースリリース | 日本格付研究所 JCR 17d0181 2

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(1)

17- D- 0181

201 7 年 6 月 2 日

石油元売各社の 16 年度決算の

注目点

石油元売大手(J X T G ホールディングス(3 月決算)、出光興産(3 月決算)、コスモエネルギーホールディ ングス(3 月決算)、昭和シェル石油(12 月決算))の 16 年度決算実績および 17 年度業績予想を踏まえ、株 式会社日本格付研究所(J C R)の現況に関する認識と格付上の注目点を整理した。

1.

業界動向

ドバイ原油価格は16 年 1 月をボトムとして緩やかな回復に転じ、足元では50 ドル/ バレル前後で推移し ている。米国のシェールオイルの生産動向には引き続き留意が必要だが、OPE C を中心とする減産実施など による需給改善が原油価格を下支えている。原油価格の回復に伴い、石油事業では 14∼15 年度にかけて大 幅な減益要因となった在庫評価損が 16 年度には在庫評価益に転じたほか、石油開発事業の収益改善にも寄 与している。また、石油開発など資源上流分野を中心として減損損失が追加発生するリスクが軽減されてい る。

石油事業では国内需要が引き続き減少傾向にある。16年度の国内需要は燃料油全体で前期比 2. 0%減、ガ ソリンで同 1.2%減となった。特に、ガソリンは自動車の燃費改善などを背景として、構造的な需要減少が 続いている。一方、供給面ではエネルギー供給構造高度化法の 2次告示の対応期限である 17年 3月末に向 けて精製能力削減が進んだ。この結果、17 年 3 月末時点の国内全体の常圧蒸留装置能力は 351 万 8, 800 バレ ル/ 日と 1年前と比べて約 1 割減少しており、当面の需給改善への寄与が期待できる。また、石油化学事業 は堅調な需要を背景に、収益が好調を持続している。

17 年 4 月には J Xグループと東燃ゼネラルグループの経営統合により、国内燃料油販売で 50%のシェアを 持つ J X T G グループが誕生した。一方、出光興産と昭和シェル石油の経営統合は先行きが不透明となってい るが、両社は経営統合に先立ち企業グループを形成して協働事業の強化・推進に注力する方針である。二大 グループへの業界再編の進展が、過当競争の緩和につながることが期待される。

2.

決算動向

16 年度(17/ 3 期および 16/ 12 期)の5 社合計(上記4 社のほか経営統合前の東燃ゼネラル石油を含む) の経常利益は 6, 795 億円と 3 期振りに黒字転換した(前期は 802 億円の赤字)。原油価格の反転上昇に伴い、 5 社合計で 2, 317億円の在庫評価益(前期は 6, 023 億円の在庫評価損)に転じたことが主因であり、この影 響を除く実質経常利益では 4, 477 億円と前期比 14%の減益であった(図表 1)。

セグメント損益の状況を在庫評価の影響を除くベースでみると、石油開発事業は生産数量が大幅に増加し た出光興産を除けば、通期ベースで原油価格が下落した影響により減益となった。また、石油事業では白油 4品のマージンに改善がみられたものの、15年度の原油価格下落局面で発生したタイムラグに起因する収益 押し上げ効果の剥落などにより全般的に減益となった。一方、石油化学事業は円高により輸出採算が低下し たが、数量・マージンとも堅調に推移、高水準の収益を維持した。特に、コスモエネルギーホールディング スは子会社化した丸善石油化学の通期寄与により、同事業が大幅増益となった。このほか、J X T G ホールデ ィングスの経営統合前(J X ホールディングス)の金属事業では、銅価が回復する一方、カセロネス銅鉱山の 操業赤字が収益を圧迫した。また、昭和シェル石油のエネルギーソリューション事業は、太陽電池パネルの 販売数量減少や販売価格低下などにより 2 期連続の赤字となった。(図表 2)。

(2)

拡大により有利子負債が増加に転じた。もっとも、5 社合計の親会社株主に帰属する当期純利益が 3, 828 億 円の黒字に転換(前期は 3, 921 億円の赤字)、自己資本の修復が進んだことにより、財務構成の格差は全般的 に縮小した。16年度末のネット・デット・エクイティ・レシオを 15 年度末と比較すると、若干の悪化とな った出光興産を除けば改善がみられた。(図表 3)。

3.

決算に

格付上の

注目点

17 年度(18/ 3 期および17/ 12 期)は、4 社合計の経常利益で5, 870 億円と前期比14%の減益を予想する。 足元の原油価格がおおむね安定的に推移していることもあり、16 年度に発生した在庫評価益がほぼ剥落する 前 提 に な っ て い る こ と が 主因 で あ る 。 こ の た め 、 4 社 合 計 の 実 質 経 常 利 益 で み れば 、 5, 770 億 円 と 前 期 比 29%の増益予想となっている(図表 1)。

セグメント損益を在庫評価の影響を除くベースでみると、石油開発事業ではJ X T Gホールディングス、出 光興産、コスモエネルギーホールディングスの 3社とも原油価格の緩やかな上昇による収益回復を予想する。 このうち、コスモエネルギーホールディングスはヘイル油田の生産開始に伴う生産量増加を主因として大幅 増益を見込む。また、石油事業ではマージン改善などによる増益予想が主流になっており、経営統合による シナジー効果が加わる J X T G ホールディングスは大幅増益予想となっている。一方、石油化学事業では製造 用燃料費上昇やマージン縮小などにより全般的に減益予想だが、比較的高い収益水準を維持できる見通しで ある(図表 2)。このほか、J X T G ホールディングスのカセロネス銅鉱山は生産コスト低減などにより、昭和 シェル石油のエネルギーソリューション事業では太陽電池の国内販売シフトや生産体制最適化などにより収 支均衡を目指している。

原油価格を始めとする資源価格が底打ちしたとはいえ、過去と比べてなお低水準にとどまっており、当面 は資源上流分野を中心とする成長戦略が描きにくくなっている。こうした中、経営統合や提携強化などによ り石油事業の収益力向上を図ることが大きな課題となっており、J X T G ホールディングスのほか、出光興産 と昭和シェル石油との協働事業の強化・推進によるシナジー実現の進捗が注目される。また、精製能力削減 に伴う国内需給改善、二大グループ形成を通じた過当競争緩和などを通じて、石油事業の収益回復を図れる かが当面の大きな注目点である。

財務面では原油価格の底打ちに伴い、在庫評価損の発生や減損損失の追加計上などにより自己資本を大幅 に毀損するリスクは軽減されている。ただし、14 年度∼15 年度にかけて原油価格が急落した影響などによ り財務構成が悪化した石油元売を中心として、引き続き財務構成の改善を図ることが課題である。なお、投 資抑制の動きが見られる中、総合エネルギー企業化を含めた成長戦略の進捗が中期的な収益格差につながる 可能性があることから、今後の各社の対応に注意を払っていく。

(3)

(図表 1)石油元売大手合計の経常利益および実質経常利益

8,821

5,211 5,521

-3,975

-802

6,795

5,870

4,854

4,165

2,924

3,950

5,221

4,477

5,770

-5,000 -3,000 -1,000 1,000 3,000 5,000 7,000 9,000

11 12 13 14 15 16 17(予)

(億円)

(年度)

経常利益

実質経常利益(在庫影響を除くベース)

(注)実質経常利益は在庫評価の影響を除く経常利益。17 年度予想は会社予想。

16 年度は大手 5 社合計、17 年度予想は大手 4 社合計

(出所)各社決算説明資料

(図表 2)石油元売大手のセグメント損益(在庫影響を除くベース)

-1,000 -500

0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500 4,000

12 13 14 15 16 17E 12 13 14 15 16 17E 12 13 14 15 16 17E 12 13 14 15 16 17E 12 13 14 15 16

JXTGホ ー ル テ ゙ィンク ゙ス 出光興産 コス モ エ ネ ル キ ゙ー ホ ー ル テ ゙ィン

ク ゙ス

昭和シ ェル 石油 東燃セ ゙ネ ラル 石油

(億円)

(年度) その他

金属

石油開発

石油化学

石油

(注) セグメント利益は J XTG ホールディングスとコスモエネルギーホールディングスが経常利益ベース、他は営

業利益ベース。

(注) 東燃ゼネラル石油と昭和シェル石油は 12 月決算、他は 3 月決算。東燃ゼネラル石油はのれん償却を含む。

(4)

(図表 3)石油元売大手の業績推移 (単位:億円、倍、%)

12/3期 13/3期 14/3期 15/3期 16/3期 17/3期 18/3期

実績 実績 実績 実績 実績 実績 期初予想

売上高 107,239 112,195 124,120 108,825 87,378 81,360 100,000

営業利益 3,278 2,515 2,137 -2,189 -622 2,984 3,500

経常利益 4,078 3,283 3,023 -1,501 -86 3,336 3,250

実質経常利益 2,913 2,710 1,830 2,552 2,609 1,936 3,250

在庫影響額 1,165 573 1,193 -4,053 -2,695 1,400 0

親会社株主に帰属する当期純利益 1,706 1,595 1,070 -2,772 -2,785 1,601 2,000

自己資本 17,442 19,428 21,351 19,368 14,989 16,095

-有利子負債 23,010 25,799 28,327 26,203 26,172 24,591

-DER(倍) 1.32 1.33 1.33 1.35 1.75 1.53

-ネットDER(倍) 1.18 1.20 1.19 1.18 1.42 1.34

-自己資本比率(%) 26.1 26.7 27.4 26.1 22.3 24.2

-売上高 43,103 43,747 50,350 46,297 35,702 31,903 35,000

営業利益 1,381 1,107 782 -1,048 -196 1,352 1,240

経常利益 1,336 1,091 819 -1,076 -219 1,400 1,400

実質経常利益 995 830 390 257 1,003 1,069 1,400

在庫影響額 341 261 429 -1,333 -1,222 331 0

親会社株主に帰属する当期純利益 644 502 363 -1,380 -360 882 890

自己資本 5,866 6,536 7,024 5,872 5,006 5,838

-有利子負債 9,198 8,964 10,819 10,062 9,096 10,507

-DER(倍) 1.57 1.37 1.54 1.71 1.82 1.80

-ネットDER(倍) 1.28 1.19 1.31 1.52 1.57 1.64

-自己資本比率(%) 21.9 24.0 23.5 21.5 20.8 22.1

-売上高 31,097 31,667 35,378 30,358 22,443 22,923 24,560

営業利益 636 524 397 -384 -297 922 575

経常利益 614 484 418 -496 -361 814 540

実質経常利益 362 331 257 665 326 420 640

在庫影響額 252 153 161 -1,161 -687 394 -100

親会社株主に帰属する当期純利益 -91 -859 43 -777 -502 532 200

自己資本 3,169 2,305 2,319 1,672 1,380 1,947

-有利子負債 7,218 8,435 8,644 6,929 7,278 7,426

-DER(倍) 2.28 3.66 3.73 4.14 5.27 3.81

-ネットDER(倍) 1.89 3.10 3.12 3.57 4.83 3.58

-自己資本比率(%) 18.9 13.2 13.7 11.7 9.8 12.8

-J X TGホールディングス (5020) 17/ 3期以前はJ X ホー

ルディングス

出光興産 (5019)

コスモエネルギーホー ルディングス

(5021)

(注)上記 3 社の 17/ 3 期は速報ベース。コスモエネルギーホールディングスは資本性評価後の数値。

(注)17 年度予想は会社予想

11/ 12期 12/ 12期 13/ 12期 14/ 12期 15/ 12期 16/ 12期 17/ 12期

実績 実績 実績 実績 実績 実績 期初予想

売上高 27,714 26,293 29,538 29,980 21,776 17,261 20,800

営業利益 603 147 754 -181 -122 464 630

経常利益 618 127 762 -167 -133 478 680

実質経常利益 300 112 418 345 415 366 480

在庫影響額 318 15 344 -512 -548 112 200

親会社株主に帰属する当期純利益 231 10 603 -97 -275 169 430

自己資本 2,559 2,498 3,006 2,721 2,226 2,213

-有利子負債 2,822 2,696 2,246 2,127 1,582 1,403

-DER(倍) 1.10 1.08 0.75 0.78 0.71 0.63

-ネットDER(倍) 1.04 1.01 0.65 0.62 0.64 0.41

-自己資本比率(%) 21.2 20.3 23.2 23.1 23.2 22.7

-売上高 26,771 28,049 32,412 34,511 26,279 20,894

-営業利益 2,162 273 523 -729 20 810

-経常利益 2,176 225 498 -734 -3 767

-実質経常利益 285 181 28 131 868 687

-在庫影響額 1,891 44 470 -865 -871 80

-親会社株主に帰属する当期純利益 1,328 548 229 -140 1 644

-自己資本 3,595 2,876 2,936 2,617 2,330 2,770

-有利子負債 636 3,336 3,296 3,858 3,343 2,700

-DER(倍) 0.18 1.16 1.12 1.47 1.44 0.97

-ネットDER(倍) 0.18 1.11 1.06 1.34 1.01 0.61

-自己資本比率(%) 32.3 20.8 20.8 19.0 19.3 22.2

-東燃ゼネラル石油 (経営統合前) 昭和シェル石油

(5002)

(5)

【参考】

発行体:J X T G ホールディングス株式会社

長期発行体格付:A + 見通し:安定的

発行体:出光興産株式会社

長期発行体格付:A - 見通し:安定的

発行体:コスモエネルギーホールディングス株式会社

長期発行体格付:BBB 見通し:ネガティブ

発行体:昭和シェル石油株式会社

長期発行体格付:A 見通し:安定的

■留意事項

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はその他の事由による誤りが存在する可能性があります。したがって、J C Rは、明示的であると黙示的であるとを問わず、当該情報の正確性、結果、

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■NR S R O 登録状況

J C R は、米国証券取引委員会の定める NRSRO(Nationally Recognized Statistical Rating O rganization)の 5 つの信用格付クラスのうち、以下の 4 クラ

スに登録しています。(1)金融機関、ブローカー・ディーラー、(2)保険会社、(3)一般事業法人、(4)政府・地方自治体。

■本件に関するお問い合わせ先

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